1998/10/30

会社設立までの大まかな流れの解説と、私の体験記です。ここでは、たった1人で有限会社を作ることを思い立ち、従業員なし、取締役1名、手続きもすべて1人で行うケースを前提として解説しています。

設立手続きは、自分でやらず、司法書士に依頼してしまうこともできます。しかし自分でできないほど難しいものでもありません。しかし手続きは順序も含めて結構複雑ですし、書類の作り方など厳しい決まりがあったりしますので、本などをよく読んで勉強しなければなりません。ようするにこのページの情報だけでは手続きを完遂するのは困難です。ここでは手続きの流れだけを知ってください。

とりあえず今回設立手続きをして感じた、登記申請までの理想的な作業の流れ図を作ってみました。代表者印ができるまでの間に、できるだけ作業を終わらせてしまい、印鑑ができたらすぐ登記に行くのが素早く片づけるポイントです。私のケースでは、個人の実印を類似商号調査の後に発注したため、すべての印鑑が揃ってから定款の認証を受けたため、少し時間に無駄が出てしまいました。

登記申請までの最短コース
図1. 登記申請までの最短コース

それでは、実際の体験記です。

退職

独立の第一歩は、もちろん、勤めている会社を辞めることです。最低でも退職の1ヶ月以上前に所属上長へ意向を伝えておくべきです。誰かが退職するということは、確実に会社に迷惑をかけています。それを忘れず会社に感謝しつつ円満退社を心がけましょう。

98/9/30(水)

2年半勤めた会社を退職。明日から無職生活なのです。

類似商号の調査

会社設立の第一歩は、まず事業の内容を決め、会社名の候補を決めることからはじまります(類似商号の調査)。決まったら本店を置く場所を管轄する登記所へ行き商号調査簿を閲覧(無料)し、同じ管轄内で、同じ業種で、似た社名がないことを確認します。

98/10/2(金) 前編

早速登記所へ類似商号の調査へ行きました。今回設立する会社名は「有限会社シュエット」というのを内定していました。フランス語だし、ソフトウェア開発業らしくもない名前なので、まず重複はありえないと思っていたのですが・・・甘かった。同じ社名を発見。しかも事業内容の1つに「ソフトウェア業」と書かれていました。あえなく断念。で、候補のひとつだった「有限会社ビットアーツ」に決めました。

印鑑の発注

類似商号がないことを確認したら、すぐに印鑑を発注します。設立までに必要な印鑑は取締役個人の実印(すぐに必要)と、代表者印(登記申請までに必要)です。個人の実印は退職前に、代表者印は類似商号の調査が終わったらすぐに発注すると、手続きがスムースに進みます。

98/10/2(金) 後編

登記所に行った足ですぐに印鑑を発注しに行きました。今回発注したものは、とりあえず、1.個人の実印、2.代表者印、3.角印、です。全部で5万円弱。角印は、今回は手間を省くため一緒に発注しましたが、会社の運営がはじまるまでは使わないので、本来は登記が終わってから発注したほうが安全です。

定款の作成

定款は会社の憲法のようなものです。記載する内容や書き方が厳しく定められていますが、テンプレートに従って作成すればokです。作成した定款は、後日、公証人の認証をもらって完成となります。

98/10/3(土) 〜

次のステップは定款の認証なのですが、実印ができないと進めないので、それまでの間に定款を作成しておきました。

印鑑登録/印鑑証明交付

市役所へ行きます。個人の印鑑登録がまだであれば印鑑登録を行います。印鑑登録には登録する印鑑と、パスポートや免許証などを持っていきます。登録が済んだら、印鑑証明書を3通取ります。必要ならついでに国民年金、国民健康保険への加入手続きも済ませておきましょう。

98/10/9(金)

実印ができたので、市役所へ印鑑登録へ行きました。実印はもちろん社員の個人のものです。すでに登録してある場合はこのステップは不要ですが、私の場合は登録していなかったので、新規に実印を作りました。お陰で今日まで1週間待ちになってしまいました。退職前に作っておいた方が良かったかも。ついでに印鑑証明書3通を取ります。さらについでに、郵便局へ行って定款に貼る4万円の収入印紙を購入しました。市役所へ行ったついでに、国民年金と国民健康保険の加入手続きをしようとしたのでしが、国民年金のほうは、書類が足りずに今日は手続きすることができませんでした。

定款の認証

公証人役場へ行き、定款の認証を受けます。持っていくものは作成した定款3通、個人の実印、印鑑証明書、4万円の収入印紙、認証手数料5万円+謄本交付手数料(1ページ250円)です。

98/10/12(月)

今度は公証人役場へ行って、定款の承認を受けました。本を見ながら作ったのに、かなり訂正個所があり、その場で切り貼りして作り直してくれました。帰りがけに登記所へ寄って登記に必要な書類の用紙「登記用紙と同一の用紙」と「印鑑届書」をもらってきました。

出資金の払込み

金融機関へ出資金を預け入れます。個人の口座があるところでないと、受け入れてもらえない場合があるので注意しましょう。持っていくものは、認証を受けた定款のコピー、個人の実印、印鑑証明書です。また、払込みには1万円程度の手数料がかかります。払込みが終わると、金融機関から出資払込金保管証明書が発行されます。登記が終わったあと、会社の口座が作られます。

98/10/13(火)

銀行へ出資金の払込みに行きました。銀行は、今まで給与振り込みなどで利用していたところでしたので、スムースに手続きが完了しました。保管証明書が発行され、これで遂に、登記に必要な書類がすべて揃いました。

登記に必要な書類の作成

登記申請に向けて作成する書類は、設立登記申請書登記用紙と同一の用紙調査報告書印鑑届書です。これらの書類を作成しなければなりません。これもテンプレートに従って作成すればokです。登記用紙と同一の用紙と印鑑届書は専用の用紙があるので登記所でもらってくる必要があります。印鑑届書は代表者印を登録するものですので、この時点までに代表者印を用意しておく必要があります。

98/10/10(土)〜

できるものから順に必要書類を作成していきました。日付欄を除いて、早めに作っておいた方が、直前のミスに慌てることも少なくなるのでお勧めです。出資金の払込みが終わった時点で、すべての書類を揃えることができます。

登記申請

いよいよ登記所へ行き、登記申請を行います。持っていくものは、設立登記申請書、登記用紙と同一の用紙、印鑑届書、印鑑紙、定款(謄本)、出資払込金保管証明書、調査報告書、登録免許税納付用台紙、印鑑証明書です。登記申請日は、会社設立日となります

98/10/15(木) 前編

遂に登記申請です。登記所へ行き、まず登録免許税として6万円の収入印紙を購入して貼り、作成した書類一式を提出するだけなので、手続きはすぐに完了します。あとは審査結果を待つだけ。結果がわかるのは10/20午前、必要ならこの日に補正を行い、問題がなければ登記が完了します。

補正

もし登記申請の内容に問題が合った場合、補正を行います。簡単な修正なら印鑑をもって登記所へ行けば、その場で修正して登記を完了できます。登記が終わったらすぐに銀行や諸官庁へ出すのに必要な登記簿謄本印鑑証明書資格証明書などを取っておくと便利です。

98/10/15(木) 後編

実は登記申請をして、家に帰って2時間後くらいに登記所から「間違いがあるので印鑑をもってきてください」という電話があり、すぐに行ってみると(登記所は家のすぐ近所なのです)、すぐに修正、即日で登記が完了してしまいました。ラッキー。とりあえず謄本をとって帰りましたが、あとで印鑑証明書も必要なことに気付き、また登記所へ。結局この日は3回も登記所へ行ってしまった。

銀行口座をつくる

登記が終わったら、出資金の払込みのときにもらった領収書をもって銀行へ行き、預け入れたお金を返してもらい、会社の口座をつくってもらいます。他に持っていくものは、登記簿謄本、代表者印の印鑑証明書、銀行へ届ける印鑑です。

98/10/19(月)

実は15日登記が終わったあとに銀行へ向かったのですが閉店時間にぎりぎり間に合わずアウトだったのです。この日は余裕をもって行きました。特に問題無く手続き完了。会社の口座ができました。キャッシュカードも作ってもらえるとのことで、数日後に改めて取りに行くことになります。

税金関係の届け出

会社を設立したら、国税関係、地方税関係、それぞれに届け出が必要です。まず国税関係では、税務署へ、法人設立届出書給与支払い事務所等の開設届出書青色申告の承認申請書、(必要に応じて、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書たな卸資産の評価方法の届出書原価償却資産の償却方法の届出書)それに、社員名簿設立時貸借対照表、定款の写し、登記簿謄本を添付して提出します。次に地方税関係として、都税事務所と市役所(東京23区内では不要)それぞれに、事業開始等申告書、それに、定款の写し、登記簿謄本を添付して提出します。

98/10/22(木)

午前中銀行へキャッシュカードを取りに行き、午後から税務署へ。必要書類(結構をある)を作って提出しました。この時、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も提出しました。これは本来毎月収めなければならない源泉所得税を、半年に1回でまとめて支払えるという特例の承認申請です。税務署の届けがおわったら、その足で都税事務所へ。ここでは用紙1枚記入して提出するだけなのですぐに完了。次は市役所へ。ここでも用紙1枚なので、すぐ完了。これで税金関係の届けは完了しました。

保険関係の届け出

最後に、社会保険事務所へ、健康保険厚生年金の新規適用届けを出します。健康保険と厚生年金は、すべての法人が加入することが義務付けられています。従業員がいる場合はさらに、労働基準監督所へ、労災保険の届け出。さらに、公共職業安定所へ、雇用保険の届け出が必要です。

参考文献:
西東社 『有限会社の設立と運営のしかた』
有限会社キャロット企画著 ISBN4-7916-0185-8