BitArts Blog

ロードバイク通勤のRubyプログラマで伊豆ダイバー。の個人的なブログ。

Webプログラマとして20年になりました

もはやゾッとするんだけど、この4月で、この仕事はじめて丸20年を迎えたことになったみたいです。

Webプログラマとして20年です。ラッキーの連続で生き延びたと思います。

かるくダイジェスト。

某大手印刷会社の関連会社にプログラマとして入社した1996年4月。COBOLバリバリでDMの管理から、情シス業務、受託開発、当時最新のICカードのOS開発まで幅広く手がける会社でした。ラッキーなことに、COBOLでも情シスでもなく、新しいことに取り組んでいく系の部署に配属されました。すぐに親会社の研究所などに出向して大型の新規プロジェクトの開発に関わりました。そこで作っていたのは、顧客のカタログ印刷のデータをマルチメディアやインターネットで活用するというプロダクトでした。当時のインターネットは家庭ではアナログモデムの時代であり、社内でもインターネットを自由に使える部署はまだ一部でした。僕はこの時にさらにラッキーなことに希望が受け入れられてWebアプリ開発を担当していました。

この時代からWeb開発の仕事ができたことはラッキーだったのですが、わりと手が空く時間が多かったのもラッキーでした。この時期会社でこっそり仕事と関係ないアプリやWebサービスを作ったり色々やってたんです(勉強です!)。自宅には満足にネットが使える環境がない時代に職場では常時接続環境ですから最高です。この時期の経験は後にも活きたところかなと思います。

入社から2年半の1998年10月に会社をやめてひとりで会社を作りました。ビットアーツですね。元々は20代のうちに会社をいくつか転々としてみたいと思っていたのですが、途中でフリーという働き方があることを知って興味を持ち、色々すっとばしていきなり独立してしまいました。…これが本当に良かったのかなあ?と考えると、今では疑問もあります。もう一度人生をやり直せたらたぶん他の選択をすると思うけど、当時は突っ走ってたので他の選択肢は考えてなかったような気がします。

独立したら自動的に仕事が来るわけではないわけですが、当時は本当にあまり深く考えていなくて、まずは退路を絶ってからやれることを全部やってみよう。という感じだったと思います。ところがこれがまたラッキーなことに、わりとすぐに声がかかりました。なので最初はスムースに稼働できましたね。当時は今ほど独立するプログラマなんていなくて、独立したことをネットで公表するだけでちょっと目立つような時代だったと思います。ただし需要も今よりずっと少なかったのですが。

思い出深いところとしては、独立して間もないころに、黎明期のEC業界にがっつり関われたことですね。当時目立ちはじめてきた楽天に追いつこうと頑張っていました。日本で初めてのネットスーパーも作りました。

その後は2〜3年周期でずっとラッキー→ピンチ→ラッキー→ピンチの繰り返しでした。何年も収入を依存していた取引先に急に切られてもうダメかもとなったギリギリのタイミングで次のチャンスが訪れるとか。こんなのを繰り返して続いてきたのだから、トータルでは神がかったレベルで超ラッキーだったとしか言いようがありません。

2001年に技評さんから声がかかって、初めて本(最初はムックでしたが)の執筆を経験しました。SSLやhttpなどアプリケーションプロトコルの話を数ページ書くところからでしたが、その後セキュアプログラミングの話で単独著書を出す機会をもらえました。この本の出版がきっかけとなって、某大手SIから脆弱性診断の仕事を継続的にもらえるようになりました。このおかげでセキュリティに強いWebエンジニア。というキャラが確立しました。今思えばこの時期が最も調子が良かったですね。でもやっぱり数年後にはその仕事もなくなってまたピンチになるわけです。

2005年ころからは、受託開発オンリーから少し脱却して、かねてから目指していた、自分で考えて作ったプロダクトを販売代理店にOEM供給する、というモデルに本格的にチャレンジするようになりました。しかしこれが本当に効率悪くて、何ヶ月もかけて開発しても1つも売れないというのは普通なので、受託開発で最低限の体力を維持しながらチャレンジを続けていました。その中で1度だけですが、がっつり担いでもらえる代理店にめぐりあえて、製品としてはそこそこ売れたこともありました(それも結局終わりましたが)。でもその時は今度は受託開発の受注が全然なくて結局大きな収益アップにはならなかったりとか、うまくいかない。けど運良くギリギリで生きてはいけた。みたいな日々でした。

情けない結果ですが、20年もやってきて「今、仕事が順調です」とちゃんと言えたことが一度も無かったのです。それでも20年続けることができた。続いた要因は明らかだと思っていて「ラッキーだった」それとあともうひとつ。「やめなかった」ことだと思います。やめたほうがよさそうだ、というタイミングは何度もあったので。当たり前ですが、やめない限りは続くので。

で、今はというと、昨年新会社作ってCTO就任という新たな展開となり、順調期です。逆に言うと2〜3年後どうなってるのか、これまでで最も全然分からない。今までずっと波の中で生きてきたし、今後もそうなんだろう。

あと20年、続くかな。