スーパーマクロレンズの制作
最終更新:2004/6/1
僕は現在水中撮影機材として、オリンパスのC3030ZOOMを使用しています。すでにかなり古いモデルになっていますが、アタッチメントレンズや外部ストロボを加えて、現役で頑張ってます。
さて、このカメラの不満と言えば、マクロモードでも20cmまでしか寄れないことです。このシリーズの最近のモデルでは、3cmまで寄れる「スーパーマクロ」モードがあるのですが、このモードだとストロボが発光禁止となってしまい、光接続の外部ストロボを使うこともできません。これでは使い物になりません。
ということで、今のところの解は外付けのクローズアップレンズを付けることです。僕もINONのUCL-330を付けてマクロ撮影をしてきました。ところが、これで今までは不満もなかったのですが、先日体長1〜2ミリという超ミクロサイズの「ダンゴウオ」の撮影を試みて惨敗。もっと強力なマクロ撮影環境が欲しくなったわけです。この、UCL-330は何枚でも重ねて装着することができるのですが、1枚13,000円するので、貧乏人にはおいそれと買い足せません。…ということで、ダメもとで自作マクロレンズに挑戦してみることにしたのでした。
制作
制作と言っても、ルーペのレンズをステップアップリングに接着するだけだったりします。今回選んだのは、倍率が2倍で、直径75mmの安物のルーペです。と言っても1,000円以上しましたが、もっと径の小さいものであれば100円ショップにもあると思います。試してませんが、どうせ主にテレ側で撮影するんだし、100円のレンズをステップダウンリングに接着するのでも十分かもしれません。
もちろんガラス製のレンズじゃないとだめですよ。直径は75mmです。「ブルーガラスレンズ」と書いてあって、レンズがやや青みがかっているのが気になりますが、写真に影響があるほどではないようです。 |
このタイプのルーペは簡単にレンズが取り外せるので話が早い。 |
75mmのレンズを67mm-77mmのステップアップリングに入れると、美しく収まります。エポキシ樹脂系の接着剤でしっかりと接着しちゃいます。次に、レンズを重ねて装着できるようにするため、さらに77mm-67mmのステップダウンリングを貼り付けます。
これを67mm-77mmのステップアップリングに入れると、なんと、ピッタリです。エポキシ樹脂系の接着剤で接着しちゃいましょう。 |
重ね装着を可能にするため、その上に77mm-67mmのステップダウンリングを貼り付けます。 |
一晩待って、完成です。
2枚重ねの図。結構美しく仕上がってます。 |
INON UCL-330も加えた3枚重ね。 |
試写
とりあえず地上撮影でテストしてみましょう。さて、効果のほどは?
すべてマクロモード&テレ端&フルオートでの撮影です。
クリックでバカデカ画像 |
ノーマル(マクロモード)
何も付けずに普通にマクロモードで撮影した場合は、この辺が限界です。小さな被写体を狙うには、ちょっと物足りないのです。 |
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INON UCL-330
イノンのマクロレンズを付けた状態です。普通のマクロ撮影にはこのくらいで十分。 |
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自作レンズ×1枚
UCL-330より少し強力ですね。なんと意外にも画質も申し分ないではないですか! |
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自作レンズ×2枚
すばらしい迫力です。が、ピントを合わせるのは難しくなってきます。 |
クリックでバカデカ画像 |
自作レンズ×2枚 + INON UCL-330 UCL-330とのタッグによる3枚重ねです。被写界深度がすごく浅く、ピント合わせが難しいので、実用的にギリギリでしょうか。 |
ちょっと改良
これで潜ってみたら欠点が発覚。レンズをつなげて潜ると、水圧の影響でレンズが離れなくなってしまう!そこで水逃がしの溝を入れました。ヤスリを使ってステップダウンリングのほうに2箇所溝を掘ります。言うまでもなく、本来はレンズを付ける前に作業したほうがずっと楽です。
さらに改良
水中で撮影してみると、思ったよりピントが合わせやすい。というかどうやら、ピントが合いやすいというより、地上ほどの効果が出ていない模様。つまりこういうことです。空気と水では屈折率が違う。レンズ面を水が覆ってしまうと、空気対レンズほどの屈折率が得られず、結果として性能がダウンしてしまうのでした。これを解決するには、空気を持ち込むしかありません。2毎のレンズを密着させて、防水することで、空気をサンドイッチしてしまいます。防水にはゴム状に固まるセメダインスーパーXを使用しました。
…しかし、その後INONのクローズアップレンズUCL-165M67を買ってしまったので、結局このレンズ、活用せずじまいか?!